愛染堂市
木村は「血の海だよ」と呆れた口調で言葉を吐き捨てた。
『血の海?!』
俺は驚き毒島に聞き直し、毒島は溜め息混じりに頷く。
「事務所に居た六人、エレベーターに一人、建物の外の車の中で一人・・・」
『ああ・・・外の車ん中のは俺だ』
木村は割って入る俺の言葉を聞いて、更に呆れたように頷き、「派手に撃たれて全員死んでる」と言葉を続けた。
毒島は「銃声も聞こえなかったのかよ?」と言ったが、俺は『一人はサプレッサー付きを持っていた』と答え、毒島は黙って頷いた。
「サプレッサー付きを持っていたなら、最初から事務所の人間は殺すつもりだったんだろうな」
木村は俺と毒島の会話を聞いて吐き捨てる。
「じゃあ、何の為にアメリカ人を連れて行ったんでしょう?」
小池が救急車の中から余計に口を挟み、俺は黙らせる為に睨み付ける。
「だいたいにして、アメリカ人のコンピューター野郎は何しに日本に来たんだ?」
木村が俺に詰め寄るように言い、毒島が横で同意するように頷く。
『さあな・・・身柄を押さえたら、即引き渡しになってたしな』
「引き渡し?!・・何処へ?」
木村は如何にも解せないと言った顔付きで、尚も俺に詰め寄る。