愛染堂市
9)偽善
―――――ヤマモト
『木村さんよ、要は俺にそのもう一丁のスミス&ウェッソンを回収しろって言いてえのか?』
ウェイトレスが注いだ二杯目のコーヒーを、ズビリと音を立て、相変わらずムカつく顔で啜る木村に、俺は苛立ちを全面に押し出して問う。
木村は勿体ぶるように此方を眺め、カチャリとソーサーにカップを戻しながら、これまたムカつく満面の笑みで満足そうに頷く。
「飲み込みが良いねえ、やっぱりヤマモトちゃんは・・・デキる男は流石に違うねえ」
『馬鹿にしているようにしか聞こえねえな・・・』
「何言ってんだよ?本心だよ本心だよ」
――木村の態度はつくづく俺を苛つかせる。
『悪いが・・・断る。俺はアンタにそんな義理はねえハズだ。それに、前にアンタには一課に優秀な兄弟が居るって聞いた事があるぜ。ソイツに何とかしてもらうんだな』
「弟の事か?・・・あぁ~ダメダメ!弟は親父に似て堅物でよお、下手すりゃ俺ですら逮捕しかねねえよ」
木村は苦笑いを浮かべながら、大袈裟に手を振って言う。
『弟が駄目だとしても、アンタにゃ他にも内部にコネは有るんだろ?』
「まあ、無いことも無いがな・・・」
木村は、また勿体ぶるように此方を眺め、ソーサーに落ち着いていたコーヒーカップを手に取り、ズビリと音を立て啜った。
『木村さんよ、要は俺にそのもう一丁のスミス&ウェッソンを回収しろって言いてえのか?』
ウェイトレスが注いだ二杯目のコーヒーを、ズビリと音を立て、相変わらずムカつく顔で啜る木村に、俺は苛立ちを全面に押し出して問う。
木村は勿体ぶるように此方を眺め、カチャリとソーサーにカップを戻しながら、これまたムカつく満面の笑みで満足そうに頷く。
「飲み込みが良いねえ、やっぱりヤマモトちゃんは・・・デキる男は流石に違うねえ」
『馬鹿にしているようにしか聞こえねえな・・・』
「何言ってんだよ?本心だよ本心だよ」
――木村の態度はつくづく俺を苛つかせる。
『悪いが・・・断る。俺はアンタにそんな義理はねえハズだ。それに、前にアンタには一課に優秀な兄弟が居るって聞いた事があるぜ。ソイツに何とかしてもらうんだな』
「弟の事か?・・・あぁ~ダメダメ!弟は親父に似て堅物でよお、下手すりゃ俺ですら逮捕しかねねえよ」
木村は苦笑いを浮かべながら、大袈裟に手を振って言う。
『弟が駄目だとしても、アンタにゃ他にも内部にコネは有るんだろ?』
「まあ、無いことも無いがな・・・」
木村は、また勿体ぶるように此方を眺め、ソーサーに落ち着いていたコーヒーカップを手に取り、ズビリと音を立て啜った。