愛染堂市
「・・・こんな朝早くまで客が付くのか?」
『・・・え?』
「ホステスじゃないとすると娼婦だろ?
この時間にそんなカッコで
アノ通りを歩いてるのは
・・・ホステスか娼婦だ」
男は目を合わさずに聞いてきた。
必要以上に露わになっている肌に、アタシは突然恥ずかしさを覚える。
アタシは娼婦だ。
この薄汚い街に沢山居る安い三文娼婦の一人だ。
客の前では羞恥心を殺して、チンピラやオヤジ共の汚い手やナニを肌の内側に入れさせている。
アタシはそれでご飯を食べている。
アタシは恥も自分も殺して、そうやって生きている。
なのに男に娼婦と言われた途端に、アタシは自分が恥ずかしくなった。
「なぁ・・・
片手だとやっぱり不便か?」
『・・・別に』
「右手だけじゃ上になった時に
バランス取り難いだろ?」
『・・・別に気にした事ないけど』
「バックでする時とかも大変そうだよなぁ・・・
なぁバックの時はどうするんだ?」
男は興味本位なのかアタシを馬鹿にしているのかクダラナイ質問を続けた。
アタシは段々腹が立って来た。
そして何故か涙が出そうになった。