愛染堂市
 
『アタシがどんなセックスするのか、気になるならアタシを買ってみたらっ?!そこいら中に貼ってあるキューティーって店に電話して、アサガオを指名してみなよ!!・・・残念だけど料金は変わらないわよ!!吉田って言うイヤミな男が電話に出て「アサガオは左手が無いけどよろしいですか?」って聞くけどねっ!!――だからアタシに客はつかないわよ!!・・・せいぜい怖い物見たさの客か、指名無しでチェンジする勇気の無い客ぐらいなものよ!!』


「・・・いや・・・俺は」


『俺は何よ?!――確かにアタシは食うのもままならないけど、アンタみたいな人間に御馳走してもらう気も無いし!!アンタみたいな人間に命乞いもしないわよ!!殺すならサッサと殺せば!!――どうせアタシみたいな女は放って置いても、飢え死にするんだから!!』


「・・・めん」


『はっ?!何っ?!』


「・・・ごめん」


 ――男は突然表情を変えて謝ってきた。


 アタシは馬鹿だから、男に謝られると許してしまいたくなる。

 昔からヒステリーに泣きじゃくっては『男の謝罪』で心を癒された。

 アタシはいきなり現実に舞い戻る。

頭に冷ややかに風が吹き抜けた様に冷静になる。

 そして自分の発した言葉に寒気を覚える。

見境の無くなる自分が恐ろしくなる。


「ゴメン・・・俺・・・ホント悪かったな」


 男は子供の様にアタシに許しを請う。

迷子の様な目で許しを請う。

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