愛染堂市
―――――中島



『・・・どのくらい経った?』


「ん?・・・どのくらいって?」


『ここに来てからだよ・・・』


「あぁ・・・あんたが救急に運ばれてから30分程度だろうなぁ。・・・俺達はついさっき来た」

 ――全く情けねぇ

俺は本気で意識を失っちまった様だ。

目を覚ますと同僚がベット脇に二人ガンクビ揃えて俺を眺めてやがる。


『・・・若造は?』


「あぁ・・・まだ処置中だよ」


「出血が酷いらしいです」


『・・・そうか』


「中島・・・何があった?」


『俺にもよく分からん・・・取り合えず白いバンを手配掛けてくれ』


「白いバン?」


『あぁ・・・アメ車のバカデカいバンだ。・・・前田・・・前田塗装店って書いてあったと思う』


「そいつにやられたのか?」


 俺は黙って頷く。

 おそらく今更緊急手配を掛けたところで、野郎は捕まる様なタマじゃねぇ事は分かっていたが、俺は取り合えず悪足掻きをする事にした。
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