愛染堂市
『・・・あ・・あと片手の女。・・・片手のお水っぽい女が連れていかれた』
「片手のお水・・・?」
「あぁ・・・そいつは多分おフェラのアサガオですよ!!」
「おフェラのアサガオぉ?」
『・・・アサガオ?』
「知ってるのか?」
「ええ・・キューティーって店の女です。お口が目茶苦茶堪らないって話ですよ」
「へぇお願いしたいもんだねぇ・・・お前は買った事あるのか?」
「フェラが良くても、・・・片手じゃぁちょっと」
『無駄話はやめて!!サッサと手配掛けてもらえねぇかなぁ?!』
くだらねえ話で盛り上がる二人の同僚に、俺はイラついて声を荒げる。
二人は不満気な顔で俺を見て、渋々手配を掛けに部屋を出て行く。
ここの警察はやる気が無い上に持ってきて、本当に頭の悪い奴等ばかりだ。
まっ俺も情けねぇ事に、その警察の一人である事には違いねぇが、ただ俺は今自分の中で沸々と沸き起こってる感情を押し殺せずにいる。
この感情はすっかり忘れて錆付いてしまっていたが、確実に俺の心を蝕もうとしている。
この街に来て、この街に染まり、すっかり忘れちまったその感情は危険で馬鹿げた感情だが、俺はそれに蝕まれようとしている。
――野郎の顔が思い浮かぶ。
あのニヤけた野郎の顔が俺の心に火を点ける。