愛染堂市
「オマエ知ってるか?ペンキ屋はインポで童貞なんだとよ!!」
『ちょっとアンタ何言ってんの?!・・・気持ち悪いんだけど!!ちょっと放してよ!!』
「・・・気ぃ付けろよぉ。お前も立たせる事が出来ねえと、・・・シュッ!!殺されるぜ」
男は気色悪いニヤケ顔を浮かべたまま、手で首を切るジェスチャーをしながらアタシに言った。
『アンタには関係無いでしょ!!いい加減放してくれる?アンタのドブみたいな臭いが移るんだけど!!』
「フンっ!鼻っ柱が強いのは構わねえが、俺の忠告は素直に受けた方が身の為だぜ」
ペンキ屋は相変わらず無言のまま、ただ此方を見ているだけだった。
男はなおも、その臭い口から言葉を放つ。
アタシは唾が飛んできそうで強く体を引く。
「俺はなぁ、こう見えても昔は裏の世界には顔が効いた方なんだよ!!信頼出来る筋から聞いた話だぜぇ・・・」
『だ~か~らっ!!アンタには関係ないでしょ!!放せっ!!バカッ!!』
アタシは思い切り男の左足のスネの辺りを蹴った。
「イテッ!!このクソ女!!」
男は掴んだ右手を振り回すようにアタシを後ろに放った。
アタシは思い切り尻餅をつきながら後ろの車に頭を打った。
「口しか使い物にならねえ女がっ!!右手も使えねえようにしてやる!!」
そう言って男は道具箱に入っていた大きなスパナを振り上げた。