愛染堂市
「ペンキ屋あんたってホントに童貞なの?」
『はぁ?!馬鹿じゃねぇか?』
「じゃぁインポ?立たないの?」
『―――何言ってやがる』
正直限界だ。
この女の馬鹿に付き合っていられなくなってきた。
「―――だってさっき怒って男を・・・蹴ってたから」
『別にそんなんじゃねぇよ』
「じゃぁ・・・アタシを助けてくれようと思ったの?」
この女はつくづく馬鹿のようだ。
さっさと飯を食って、こうゆうやっかいな女とはサヨナラだ。
俺は、もうこれ以上は女と話すつもりはねえ。
次に女が、俺の癇に障るような事を言ったら、そのまま連れ出し、道端に転がすまでだ。
「―――ねぇ・・・怒ってる?」
『・・・おい女』
「何?」
『お前がどんな馬鹿女だろうと、分かるだろ?・・・状況』
女は少しだけ沈んだ表情を見せた。
俺は、なおも言葉を重ねる。
『俺が何者かぐらいの察しは、付いているだろう?・・・殺しはしねぇと言ったが、俺は嘘つきかも知れねえぞ。・・・もしかしたら、俺の今日の予定の中にお前を消す事が入っているかもしれねえだろ?・・・少しお喋りが過ぎると、予定よりも早く消えるようになるぞ』
「―――失礼致します」
俺が言葉を吐き終わると、ウェイターがドリンクを運んで来た。