愛染堂市
アタシはペンキ屋の、瞼に半分を隠されたグリーン瞳の奥の「何か」に手を入れて引っ張り出したいと言う、強い欲求に駆られる。
『ペンキ屋、貴方の心の・・・』
「やめろっ!!」
『・・・失った部分を』
「やめろっ!!やめろっ!!」
『アタシが補ってあげる・・・』
ペンキ屋はアタシの言葉に、首を激しく横に振りながら、何度も「やめろ」と強く言葉を重ね、拳銃を持つ手を震わせる。
『ペンキ屋・・・アタシが貴方の心になってあげる』
「言うなぁーーーーっ!!」
ペンキ屋がアタシに向ける銃口の先から強い、閃光が一瞬閃く。
その閃光を理解する間も無く、大きな音が部屋に響き渡る。
一発の銃声が部屋を支配する。