愛染堂市

―――――若造


 白い?

真っ白だ。

目が痛い。

息苦しい。


「耕太っ!!・・・耕太っ!!」


耕太?

そうか俺か、懐かしい声が俺を呼ぶ。

誰だ?

朱美か?


「耕太っ!!コータァッ!!」


そう何度も呼ぶな、わかってるよ。

朱美、何処に居る?


「・・・耕太・・・良かったぁ」


真っ白な世界を遮るように、朱美が俺の目の前を覆う。


朱美?何故泣いているんだ?

あれ?今日は非番だったのか俺?


「大した野郎だな?・・・よく生きて戻ってこれたなぁオイッ!!」


あれ?中島さん?

何でここに?


ココは俺の部屋じゃないのか?


 目が慣れて来た。


世界を真っ白に染めていたのは、白昼色の蛍光灯だった事に気づく。

そして、その蛍光灯が吊り下がる真っ白な天井と、天井パネルの継ぎ目の黒い線が徐々に姿を現す。

木目の天井では無いと言う事は、ここは俺の部屋じゃない。


「わかりますか?・・・コレを見て」


俺のやっと慣れて来た目に、眩しいペンライトの光を当てる白衣のオヤジを見て、ココが病院である事に気付く。


病院?

何故?






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