あなたしかいらない


だけど…


まだ…婚約解消してないから…


少しの間、私たちの間に沈黙が続いた。



「この人は、陽芽の婚約者なのよ」


先に沈黙を破ったのは…

お母さんだった。



「えっ……」


隼人くんは、驚いた顔をした。



「だから諦めなさい。
あなた、記憶喪失になって陽芽のことわからないんでしょ?
だったら今まで…ここ数日のことも忘れて。」


「おっ…お母さん!?何言って…」

「忘れられません。」


───隼人くん…?


「俺は、また陽芽を好きになっちゃったんです。
だからもう、忘れるなんてことはできません。」


え…?


隼人くん───?





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