あなたしかいらない

私は、隼人くんを抱きしめた。


「!? 陽芽!?」


「…バカ…」


「…陽芽？」


「…私は…どんな隼人くんでも好きなのに…」


そんな贅沢なことは

思ってないのに…


本当に…ばか…なんだから…



「私だって…隼人くんのこと大好きなんだよ…」


「…でも陽芽…俺の記憶戻そうとして…」


「…それは…
隼人くんが私のこと忘れたままだったのが…嫌だったから…
私のことわかんないなんて…嫌だったから…！」


「…陽芽…」


気がつくと、私の頬は涙で濡れていた。


嬉し泣きか

今まで苦しかったことが溢れて泣いたのか


よくわかんないけど


今

隼人くんが『好き』って言ってくれたのが


こんなにも


懐かしく


愛しい───。