あなたしかいらない



お母さんはフッと笑った。


「…お金だけで結婚させてもつまらないしね
あなたたちは…お金とかの関係なしに、幸せになれる気がするから…」



お母さん…



「…今の陽芽、凄くいい顔してるから…
お金の問題だけでその幸せを終わらす権利は私にはないもの。

…幸せになりなさいよ」



お母さん…



「はいっ!勿論!」



「んじゃ行ってきなさい!」


「はいっ!」


私は、お父さんのいるリビングに走った。




「…あの子も…いい顔して笑うようになったわね…」



後でお母さんは言っていた。



今の陽芽は、カゴの鳥だった時と比べられない程、生き生きしている、と。





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