あなたしかいらない



本当に?


私の早とちりなんだよね?


そう思っていいんだよね?


だけど

千里兄、さっきからいつもと様子が違うよ?



ねぇ、


嘘なんでしょ?



本当は、“山田さん”なんていないんでしょ?



私、わかるよ


千里兄が嘘つくときは癖で、絶対目を剃らすんだもん。


だけど、


信じたいよ。



あんなに優しい千里兄が、こんな重大なことで嘘つくなんて、

そんな嘘つきだなんて、思いたくないよ。



「…正直なこと言って?千里兄…」



そう言った私の声は、聞こえてないかもしれないと言えるくらいに小さく、震えて、とても弱々しかった。

今、目を見て、全部本当のことだよって言ってくれたら、今度こそ信じるから


疑ったりしないから…!




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