あなたしかいらない



「じゃあ、また明日な」


「うん
…ん」


名残惜しいさよならは、キスで寂しさを埋める、
そんな日々。
そんな毎日。


だけど、今日は違うことがあった。


「…今、陽芽の両親いる?」


「うん。たぶんいるよ?」

「したら…その…会わせてくれない?
っていうか、家のなか、入ってい?」


「いいよ?」


なんだろ…


何か話しがある…とか?



そう思いながら、家のインターホンを押した。



「お母さーん?
陽芽です
只今帰りましたー!」


そして、重い門が開いた。

その門の奥に、お母さんはいた。


「あらあら♪隼人くん♪いらっしゃい」


「…こんにちは」


隼人くんは、お母さんに一礼して挨拶した。


いつも隼人くんはこうするけど、今日はなんだかいつもよりかしこまってる気がする。



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