あなたしかいらない



コンコン、と外側からドアが叩かれた。


「高島様ー、式のお時間です」



「あれ、もう10分経っちゃったか」


少し惜しむように私から離れた。

そして、私に手を差し伸べた。



「行こう。お姫様」


「はい……王子様♪」



………なんだこのバカップル。

たぶん、ドア越しに聞いていた人は、こう思っただろうな。



そして、隼人くんは私の手を引いて式場へと向かった。



やがて式が始まり、誓いの言葉を言うシーン。

ふと、子供の頃から憧れてたな、と思い出す私。



「生涯、愛し抜くことを誓いますか。」


「誓います」


「誓います」



< 205 / 216 >

この作品をシェア

pagetop