あなたしかいらない
「じゃあなっ!」
たたた…
私はできるだけ静かに病院の廊下を走った。
早く家に着くように──。
━━━PM10時45分
やっと家に着いた。
ピンポーン…
私は、家のインターホンを押した。
「陽芽です。只今帰りました。遅くなってすみません。」
ガチャ…
重い、大きな門が開いた。
門の先にはお母さんがいた。
「遅かったわね。冷えるから早く入りなさい。」
よかった…
そんなに怒ってないみたい。
「はい。」
「あとでなんで門限までに帰ってこれなかったのか、聞きますからね。」
「…はい。」