あなたしかいらない




──一昨日…




隼人くんにも言われた言葉…






今は…




ただ、苦しくなるだけ──。






あの時は苦しくなんかならなかったのに…





千里兄は、話を続けた。



「高島が記憶を喪ってなかったら…高島を理由に断ってただろ。」




「……うん…」





「今は…今のあいつは…お前を欠片も憶えてない。」





『欠片も憶えてない。』





ズキンッ…





胸の奥が





引きちぎられたみたいに痛い。





「陽芽のことを憶えてないあいつは…」




ズキン…




やめて…





「陽芽が結婚しても…」





やめて──!






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