あなたしかいらない
「…及川…千里さん…でしたっけ」
「そうだけど。」
「俺のこと…嫌いでしょ」
「…嫌いだよ」
「そうですか…」
隼人は、千里の隣に座った。
「…お前、体は大丈夫なわけ?」
「ああ…腹をやられただけですから…」
「そっ…か…」
千里と隼人の間に、沈黙が続いた。
「及川サンさあ…
あのこのこと、好きでしょ」
あのこ…それは陽芽のこと。
「なんでだよ」
「ん?なんとなくですよ。」
「お前はどーなんだよ」
「……好きだと思います。」
「…」
「俺…記憶喪失になったんスよね?」
「……ああ」
「頑張ってますよね…陽芽。」
「……何が言いたいんだよ」