緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「警視総監の娘だから、反発もできないってことですか?」

「楓馬様は権威に屈するタイプじゃないわよ。
彼女はとにかく加虐的なの。
鞭でも持ち出しそうな女性だから、楓馬様も引いちゃってね。

いつだったか、2人に結婚の話が持ち上がったこともあったけど、すぐに消えたわ。お互いに断固拒否だったんですって」

楓馬君があの気の強いお嬢様と結婚…?
想像つかないにもほどがある。

「誰が決めたんですか、そんな未来が見え切ってる話」

「旦那様と奥様が焦ってるのよ。
あの調子だと、楓馬様のことだから一生独身貫きそうじゃない?
そりゃ心配にもなるって」

「うーん、わからなくはないですけど…。
振り回される身にもなってほしいですね」

「いいじゃない。
この屋敷で一生暮らせるのよ?
もうここの生活には馴染んでるんでしょ?」

「…馴染んでるんですよ。
どうしよう」

しばらくそんな話をしていると、客室から楓馬君の声が飛び出してきた。いつの間にか帰ってきてたらしい。
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