緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
翌朝、まな板を鳴らす音で目が覚めた。

「おはようございまーす。朝ご飯ですか?手伝います」

「ありがとう。
どうせ菜々美はまだ寝てるんでしょ?
大学がないからって、だらだらして、困ったもんよね。
莉子ちゃんにはいつまででもいて欲しいもんだわ」

「いやいや、いつまでもお世話になる訳にはいかないですよ。
でもあと少しだけ、お願いします」

「もちろんよ!」

食器棚から人数分の茶碗を出して、炊飯器から炊き立てのご飯を盛っていく。
ななみんの実家での暮らしが板についてきている。

今まで、実家暮らしとアパート暮らししかしてこなかった。
それが、急に蒼井家で暮らすことになり、今は加藤家。
意外と私は、どこでも暮らせるのかもしれない。自分の長所を発見できた。
次に長所を聞かれる機会があったら、「どこでも暮らせることです」とでも言おうかな。

なんてね。
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