緊急逮捕－独占欲からの逃亡ー
屋敷につくと、いつものように神谷さんが出迎えてくれた。
そのせいで、緊張の糸も一気にほどけて、帰り道の不安もどうでもよくなってしまった。

でももし、本当に後をつけられていたとしたら…。
楓馬君たちがパトロールを続けているおかげで、最近はもう不審者の情報も聞かないけど、可能性はゼロではない。

「さっきからぼーっとしてる。
あんたが夕食前にして考え事なんて珍しいな」

ぼんやりしてることが、楓馬君に見抜かれた。

「そりゃ、私にだって考える時間くらいありますよ」

咄嗟に誤魔化すけど、疑いの目は変わらない。

「変」

「はい？」

「最近様子が変だろ。
何があった？」

なんでこんなに鋭いんだろう。
やめてくれ。
余計な心配はかけたくないし、気のせいだってことも考えられる。
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