緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
たしかに。
神谷さんの言う通り、無理に飲ませようとしたら暴れかねない。
でもやっぱり…。

「楓馬さん。ちょっと大人しくしててください」

「…」

何も返事をしてくれないどころか、ついに背を向けられてしまった。

こうなったら、もう手段何て選んでらんない。
彼の怪我には、私に大きな責任がある。

関係ないと突き放されて帰る訳にはいかない。

痛み止めの錠剤と水を口の中に含んで、彼の口元へと流し込んだ。
口の端から水がこぼれる。それでも、口を離すことは出来ない。
思ったよりも抵抗が無くて、そこは一安心。

…なんだけど。

「ん…」

もう薬も流し込めたし、水も残ってない。なのに、頭を押さえつけられて離してくれない。
< 177 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop