緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
誰もが寝静まった真夜中。
誰にも気づかれないように、神谷と共に屋敷を抜け出した。

向かったのは港にある倉庫。
周囲には人影ひとつない。
ここに、忌まわしい犯人が拘束されている。

「あんまり人間関係のトラブルに首を突っ込むのは趣味じゃないんだけどね。
今回は例外だ」

「もう少し目に光を宿してください。犯罪じゃと間違えられますよ」

「今の俺は、それに近い心境だ」

拘束されているのは、見たこともない男。
完全に怯えているのか、言葉にならない声をあげている。

「誰に指示された?
時間を無駄にしたくないから5秒で答えるんだ。
ゼロを聞いてる頃には、君はどうなってるだろうね」

ナイフをちらつかせる。
反射するのは冷たい光。そんな刃に映る男の顔は、どうしようもなく引き攣っている。
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