緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「彼は何も知らないわ。お金を受け取って指示に従っただけだから。
あなたが探してるのは、私よ。
思ったよりも軽い怪我で済んだのね。
動けなくしろって言ったのに、使えない男ね。
指示に従えない人間なんていらないわ。今すぐ私の前から消えて」
ステッキで男の頬をぐりぐりと抉る勢いで押さえつけるのは、ゴスロリ系のファッションに身を包んだ女。
心のどこかで、腑に落ちた感触が起こる。
「お前の仕業か、古賀。そんな気はしてたけど、今回は目を潰れない。
俺、相当ムカついてんだけどさ、どうしたらいい?」
古賀ちえみ。
警視総監の娘という、俺にとっては若干やりにくい相手。
でもそれも今までの話。
今の古賀は、俺にとってただの敵。