緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー

そんな心配をしていたけど、この祭りの雰囲気におされて、完全に空気に飲まれていた。

今年の大学祭の注目ポイントは、なんといっても女装企画。
我らが淳ちゃんが出場するのだ。
ゼミの先輩として、ここは最前列で見ないと。

ななみんと2人で席を確保する。
そんな私たちの隣に座ってきたのは、漆黒な服装の女性。

「なんで古賀ちえみまでいんの?学祭なんか興味ないって言ってたじゃん。ってか、ここ私たちがとってた場所なんですけど!」

「さぁ…、私に言われても」

この場で誰よりも我が物顔でいられるくらいの女性なんだから、もう何を言っても無駄な気がする。

「うるさいわね。私がどこで何してようと私の自由でしょ?
あなたたちにとやかく言われる筋合いはないわ」

だけど、本当にここにいる理由がわからない。
ステージ企画を楽しむような人には思えないんだけど。また何か企んでるの?
もしや、このステージを台無しにしようなんてこと考えてる?
だったら、絶対に阻止しないと。
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