緊急逮捕－独占欲からの逃亡ー
こんなにも気を張る食事があっていいのだろうか。
そして、私はこんなにも戸惑っているというのに、この中に、そんな状況を喜んでいる人物がいるというのはなんとなく察しが付く。

「そういえば、俺たちの結婚のことなんだけど、今の時代、大学生のうちに結婚する人って少ないんでしょ？
だったら莉子が卒業してからがいいよね？」

「…っ！？」

思わず飲んでいた水を吹き出しそうになる。

この男、いきなり結婚の話をぶっこんできたんですけど！
そんな話、今しなくてもいいでしょ？

「だったら、来年の4月に挙式にするか？
それなら父さんも仕事がひと段落してるし、母さんも帰国するんじゃないか？」

「そうなんだ、だったら丁度良いな。
あ、いいこと思いついた」

彼のいいことは、私にとっての悪いこと。
勝手に話を進めないでよ。
無理。茅ヶ崎さんの顔も、淳ちゃんの方も見れない。
このとんでも親子の会話を早く終わらせたいのに！

そんな私の想いとは裏腹に、食卓ではまるで楽し気な会話が繰り広げられていく。
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