緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「いえ、どうってことないですよ。
茅ヶ崎さんも大変ですね。あちこち飛び回ってるって聞きましたよ」

全然普通になんて話せない。
真っすぐ見ることすらできないっていうのに、私はどうやって茅ヶ崎さんを見返すつもりだったんだろう。

面と向かって話すだけで私はこんなにも揺さぶられてるというのに、茅ヶ崎さんは、どうしてそんなに真っすぐ私を見つめられるんだろう。

「あぁ。
社長に付いて回ってたら、自然と世界一周してしまいそうだよ。最近では、訪れた国の文化を楽しむ余裕もできて来たかな。
その国ごとにルールもあるから、国とか、土地ごとの習慣に慣れておいて損はないからね」

「へぇ…」

なんだか、遠くに行ってしまった。
あの頃だって、憧れていた部分は大きくて、ただただ大人だなと思って眺めていたけど、今はさらに距離が出来ているみたい。
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