緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
私だって、切り替えなんて上手くできてないよ。
それが上手くいってたら、ここまで悩んでないし、ひねくれてもない。

「遠距離って、思ったよりも難しかったんですね。
茅ヶ崎さんが忙しいっていうのわかってるから連絡もできなくなっちゃって…。
吹っ切ろうと思ってるだけ、ですよ」

「俺さ、何か月か前に一回日本に戻ってきたんだよ。
藤田さんに会いたくて。でも、会ってもらえる自信も連絡する勇気なくて、空港についた足でそのままアパートに向かったんだけど…。
そこにはもう別の人が住んでた。
完全に終わったと思ったね。まさかこんな形で再会するなんて予想外もいいとこだよ」

「アパートに行ってたの?」

もうそこに私がいなかったのはたぶん、強引に引越しをさせられた後のことだったから。

「遠距離で心が離れてしまうなら、もう一緒に連れて行こうと思った」

そんなこと、考えてたの…?
もしあのままアパートに住んでて、茅ヶ崎さんと会えてたら…?
茅ヶ崎さんがアパートに来るのが、もう少し早かったら?

きっと、いや、間違いなく、私は彼について行っていた。
今頃は、彼と一緒にいた、はず。
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