緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
黙って見送る茅ヶ崎さんの背中。扉を開けたとき、なぜかその動きが止まった。

なんだろう。
気になって、背中の向こうをのぞき込んだ。

げ…。
今一番会いたくない人だ。

「この辺りも停電になったって連絡あったから来てみたらこれか。
まぁ、いいや。俺は仕事に戻る」

かなり…、怒ってる。
怒ってるというか、あれは死んだ目だ。
光りが宿ってない。

窓の外から雷の音がより一層近くに聞こえる。

「あ…。
気を付けて…」

呼び止めることもできなくて、それしか言えない。届いたのかどうかわからない声は、すぐに消えた。
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