緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
3.強制退去
「はぁああああ?
ちょっと!何してるんですか!」

ここは私の住んでるアパート。間違えなく私の部屋。
なのに、玄関を開けたら、そこはもぬけの殻。

今まさに私の荷物を乗せたトラックが発進していった。
追いかけても届くはずもなく、どんどん小さくなっていくトラックの姿。

引き返した私は、現場の残った大家さんに詰め寄った。

「何って、引っ越しですよ。
荷物は全部指定された場所に運ぶようにって。
あれ、藤田さんは引越し先で荷物を受け取るんじゃなかったの?そう聞いてたけど」

大家さんが嘘をついているようには思えない。
となると、誰がそんなでたらめなこと…!

って、1人しかいない。
悪趣味で、突拍子もなくて、普通の人間ならやらないようなことを平気でやってのける男。

犯人はわかったけど、どうする?
とにかく、荷物を返してもらわなきゃ。

…せっかく屋敷を抜け出せたっていうのに。
全部仕組まれてたって訳か。
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