緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「皆すぐにやめちゃうから助かるわー。
噂によるとね、楓馬様の結婚相手を募集してここで働かせてたんだって。でも女同士のいざこざが絶えなくて、どんどん辞めていったの。
現代版の大奥ね」

大奥か。
だとしたら、私はなんなんだろう。
大勢いる女性の中で埋もれる1人なのかな。
いや、別に目立たなくてもいいんだけどさ。

「何がしたいんですかね」

「さぁね。
でも、それだけ楓馬様との結婚って魅力的なんでしょうね」

「結婚が魅力的なんですか?彼と結婚したいんじゃなくて?」

「楓馬様ももちろん素敵な方だけど、こんな大きな屋敷に住んでるのよ?
いずれは警察官の組織の中でものぼりつめるんじゃないかって言われてるし、あの方の妻になることを目的にしてる女性も少なくないってとこね」

「いや、駄目ですよ!」

つい口を挟んでしまった。
あんな自分勝手な人が警察官のトップになんて立ったら、いよいよこの国は終わる。
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