緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「駄目って…。もしかして、莉子も楓馬様狙い?
応援するけど、なかなか手強いみたいよー」

「ち、違いますよ!」

そんな勘違いは絶対にやめていただきたい。
それにしても、なんだ、嫁候補をここで働かせて競わせるなんて。悪趣味だ。

「頑張って!」

「だから、違うんですよ」

それからモップ片手に咲さんへの説得が始まった。
変な勘違いをされては困る。

気が付けば、屋敷中の掃除が終わっていた。

「わかった。
莉子は楓馬様を狙ってるわけじゃないのね。
それなら安心ね。彼に辞表を書かされることもない」

「辞表って、どういうことですか?」

「楓馬様ね、結婚するんじゃないかって言われたことは何度もあったのよ。この1年で4,5回は聞いたかな。だけど、その花嫁候補は皆この屋敷を追い出された。
花嫁候補にすらなれなかった女性も自ら屋敷を辞めていった。

一体何があったのかは知らないけど、こっちは人手が減って大変よ」

結婚まで進んだのに、破談になる?
しかも1年間で結構な回数。

…最低。
遊んでるとしか思えない。
< 44 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop