緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
あの顔なら女性が寄って来るのかもしれないけど、やっていいこととダメなことがあるでしょ。
結婚するって期待させておいて、その直前で破談にして突き落とすなんて、絶対にやっちゃいけないことだ。
「おはよー。
ここにいたんだ。起きたらいないんだもん。びっくりした」
でた。
この男が忌まわしき女の敵。
そして国を亡ぼすかもしれない男。
私が睨んでる間に、咲さんはスッと廊下の端に身を寄せて頭を下げる。
「楓馬様、おはようございます」
すごい。素早い。徹底された挨拶だ。
それに比べて私は…。
一緒になって身を寄せようとしたのに、二の腕を掴まれている。
う、動けない。
咲さんに笑顔を向けてるのに、信じられないくらいの力強さ。