緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「これをもらって、嬉しいかどうかと言われたら何とも言えないんですけど、壊したりはしませんよ。
お揃いだってことは、心に留めておきます」
「へぇ、素直だね。いいじゃん」
「いつも素直ですよ」
これくらいで笑顔になってくれるんだ。
だったら、いくらでも素直になる。
この笑顔をなくしたくない。あんなに腹の立つ笑顔だったのに、こんなに欲するようになるなんて。もう冷たくできないじゃない。
「午後からは少し冷えるそうですよ。温かくしてください。
体調にはくれぐれもお気をつけて」
「冷えるの?そうなんだ。
じゃ、あんたが温めてよ」
「え…」
なんでそうなるの。
少し隙を見せればこれだ。
簡単に腕の中に囚われてしまう。
ふわりと彼の髪が頬をくすぐる。