緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「今日の夜、俺の部屋においで。
話があるんだ」
耳元で囁かれた言葉に身を固くする。
ドキリとしたのは、きっと隠せてない。
話ってなに?
もしかして、神谷さんが言ってたこと?
それを、私にも直接話すってこと?
…ちゃんと聞けるかな。
「返事は?
いつもみたいにぎりぎりまで部屋に戻ってこないで、戻ってきたと思ったらすぐ寝るとか、無しだからね」
「…わかりました」
「本当、今日はやけに素直だね。
いつもこれくらい聞き分け良いと嬉しいんだけど」
「だって…。
いえ、なんでもありません。
それじゃ、仕事に戻りますね」
「あぁ、またあとで。
頑張ってねー」
背中に気の抜けた声援を浴びる。