私の中におっさん(魔王)がいる。~毛利の章~

 * * *

 長い長い、長すぎる階段を上がると、大きな門の前に出た。
「毛利さん家より長い……」
 毛利さんの屋敷の階段にはさすがに慣れたものの、この階段には息が上がってしまった。
 上がったどころか、息も絶え絶えだ。

「城自体が高い丘の上にありますからね。そこを地下から上ってくるんですから、かなりの段数になりますよ」

 原さんは私と違ってケロっとしながら言った。
 コウさんは少し疲れた感じが見られたけど、断然私ほどではない。
 やっぱり、日頃鍛えてる人は違うなぁ。
(あれ?)

「もしかして、毛利さんって毎日この階段往復してるんでしょうか?」
「してますね」

 私の問いに、二人はきっぱりとした声音で同時に答えた。
「敬服……しちゃうかも」
 私の呟きに、コウさんが深く頷いた。
「そうですとも。してあげて下さい」
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