私の中におっさん(魔王)がいる。~毛利の章~
* * *
夕食の時間になって、私は客間へと向った。
雪村くんへ用意された部屋とは別に、会食用の客間があって、そこへ向った。
客間は、十畳の部屋で、続き部屋になっていた。続き部屋を入れると二十畳ほどの広さになる。
仕切っている襖はキレイで煌びやかな模様が描かれていた。
客間にはお膳が三つ置いてあって、その前にはもうすでに毛利さんと雪村くんが座っていた。
「遅れてすいません」
「ううん。俺も今来たとこだから!」
「早く座れ」
二人に促されて、私は空いていた席へ座った。
お膳の中の料理はどれもこれも美味しそう。
天ぷらやお魚、茶碗蒸しっぽいのもある。
(楽しい会食になりそう!)
案の定、会食は楽しかった。
次から次に美味しそうな料理が運ばれ、毛利さんは殆ど何も話さなかったけど、私と雪村くんの間で話は弾んだ。
そんな会食も終わりをむかえ、名残惜しいような気持ちで私は先に部屋を出た。まだ話したいことがあるから、と、雪村くんが毛利さんを引きとめたんだ。
(また仲間はずれ)
不満に思いながら、私は廊下へ出た。