私の中におっさん(魔王)がいる。~雪村の章~

「その生態を徹底的に研究し、どのようにして吸い出しているのかを突き止めたのだ。吸魂竜は能力者のように脳の一部の発達と遺伝子異常によって特異体質で産まれるわけではなかった。吸魂竜は舌に絶魂(ぜっこん)と呼ばれる筋組織があって、それを震わることで、特異な震音を発生させ、生物の脳や体の中の水分に影響を与えると同時に、吸魂竜の鱗にある特異な電磁気によって、魂と体を引き離すらしい。音波で脳を乱すことによって、より確実に鱗の電磁気で魂を手に入れられるということだ。むろん、死んだ肉体から魂を吸着させることも出来るらしいがな。その機能を三条の呪術師が術式に書き直し、更に吸魂竜の絶魂と鱗も魔王に組み込まれたとのことだ。ちなみに永国の固有種である、吸水魂竜(ドラグル)は吸魂竜が元であったらしい」

「そうなのですか」と頷いた風間の横で、雪村はうとうとと目を閉じだし、それを見た間空はついに額に青筋を浮かべる。

「雪村!」
「うわ!」
 轟いた怒声に雪村は意識を取り戻して飛び起きた。
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