何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「神なんていないわ…。」
歴史の授業の後、星羅が小さくつぶやいた。
「星羅…?」
星羅は眉間にしわを寄せて、何かに苛立っている様子だった。
そんないつもと少し様子が違う星羅に、天音は戸惑いながらも、声をかけた。
「神がいるなら、天師教はいらない…。」
「え…。」
「神がいるなら、神様にお願いでも何でもすればいいのよ。それなのに、民衆は天師教を神のように崇めている。」
まるで何かの怒りをぶつけるように、星羅はそう言い捨てた。こんな風に苛立った感情を表に出している星羅を、天音は初めて見た。
確かに星羅の言うように、民衆は天使教を神と崇める一方で、この世を創造したという神を信仰している者も少なくはない。
つまり、この国に神は、ふた通りあるというわけだ。
歴史の授業の後、星羅が小さくつぶやいた。
「星羅…?」
星羅は眉間にしわを寄せて、何かに苛立っている様子だった。
そんないつもと少し様子が違う星羅に、天音は戸惑いながらも、声をかけた。
「神がいるなら、天師教はいらない…。」
「え…。」
「神がいるなら、神様にお願いでも何でもすればいいのよ。それなのに、民衆は天師教を神のように崇めている。」
まるで何かの怒りをぶつけるように、星羅はそう言い捨てた。こんな風に苛立った感情を表に出している星羅を、天音は初めて見た。
確かに星羅の言うように、民衆は天使教を神と崇める一方で、この世を創造したという神を信仰している者も少なくはない。
つまり、この国に神は、ふた通りあるというわけだ。