何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「一体どうしたんじゃ?」
天音は、じいちゃんをさっきの御触書の前へと連れて来ていた。
「これ見て!」
そう言って天音は御触書を指さした。
じいちゃんは天音と違って、スラスラと御触書を読み始めた。
じいちゃんは、ちゃんと難しい文字も読めるのを天音は知っていた。なぜなら、いつも家でも難しい本を読んでいたからだ。
「天師教様の妃候補??」
じいちゃんは、その御触書を読み終えて、その内容に眉をひそめた。
なぜ、天音がこんなお触書の前に連れてきたのか…。
じいちゃん、まだ真意を理解していない。
「私この妃になる!!」
「ハ??」
そして、まさかの思いがけない一言に、じいちゃんは言葉が出ず、口をあんぐり開けたまま、固まった。
「私、妃になるーーー!!」
天音は気がついた時には、その決意を大声で叫んでいた。
まるで自分を奮い立たせるように…。
そう、この決断は必然…。
どうしてこんなに、急に決めてしまったのだろう…。
半ば強引に…。
でも、これが私の… 運命だったのかな…?
そして、それは村を挙げての大騒ぎになった。
そう。これはこの村始まって以来の大事件。