何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「よし、誰もいないっと。」
天音は自分の部屋を後にし、青の部屋へと向かっていた。
城の中を歩くのは、もうすっかり慣れたもの。しかし、誰にも見つからないように、青の部屋へ向かうのは、気苦労が絶えなかった。
「おい。」
「!?」
充分注意しながら歩いていたはずの天音だったが、その時誰かに肩を掴まれ、ビクッと肩を震わせた。
「どこへ行く?」
天音はしまった。。と思いながらも、そこから逃げ出すわけにはいかず、恐る恐る後ろを振り向いた。
「…あなた…。」
天音はその人物を見て、思わず顔をしかめた。
そこにいたのは、以前に天音に薬をかがせた兵士だった。
天音は正直、彼とはもう会いたくもないし、会う事などないとたかをくくっていたが、その考えは簡単に打ち砕かれた。
「私の名は辰。」
「ああ、辰さんね。」
天音は、今すぐこの場から立ち去りたい一心で、辰を適当にあしらおうと試みる事にした。
「で、どこへ行くつもりだ?」
「いや、別に…。気分転換の散歩だよ。」
そんな天音の考えとは裏腹に、しつこく辰は聞いてくる。
天音は仕方なく、苦し紛れの嘘をつくしかないが、おそらく彼にはバレバレに違いない。
「少しいいか?君と話しがしたい。」
「…。」
どうやら辰は、天音に話したい事があり、天音を探していたようだったが、天音はもう彼と話す事なんてなく、明らかに不機嫌そうな顔になっていた。
しかし、人のいい天音は、その真剣な辰の眼差しから逃れる事ができなくて、仕方なくまた彼と話をするしかなかった。
天音は自分の部屋を後にし、青の部屋へと向かっていた。
城の中を歩くのは、もうすっかり慣れたもの。しかし、誰にも見つからないように、青の部屋へ向かうのは、気苦労が絶えなかった。
「おい。」
「!?」
充分注意しながら歩いていたはずの天音だったが、その時誰かに肩を掴まれ、ビクッと肩を震わせた。
「どこへ行く?」
天音はしまった。。と思いながらも、そこから逃げ出すわけにはいかず、恐る恐る後ろを振り向いた。
「…あなた…。」
天音はその人物を見て、思わず顔をしかめた。
そこにいたのは、以前に天音に薬をかがせた兵士だった。
天音は正直、彼とはもう会いたくもないし、会う事などないとたかをくくっていたが、その考えは簡単に打ち砕かれた。
「私の名は辰。」
「ああ、辰さんね。」
天音は、今すぐこの場から立ち去りたい一心で、辰を適当にあしらおうと試みる事にした。
「で、どこへ行くつもりだ?」
「いや、別に…。気分転換の散歩だよ。」
そんな天音の考えとは裏腹に、しつこく辰は聞いてくる。
天音は仕方なく、苦し紛れの嘘をつくしかないが、おそらく彼にはバレバレに違いない。
「少しいいか?君と話しがしたい。」
「…。」
どうやら辰は、天音に話したい事があり、天音を探していたようだったが、天音はもう彼と話す事なんてなく、明らかに不機嫌そうな顔になっていた。
しかし、人のいい天音は、その真剣な辰の眼差しから逃れる事ができなくて、仕方なくまた彼と話をするしかなかった。