何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「なんや面白そうやん!!」

そんなニ人を見ていたりんは、また面白そうに笑って京司の後ろをついて行く。
正直、りんも天師教の彼が一人で反乱を止めに来るなんて、思ってもみなかった。
そして、彼がこんなにヤンチャな、口の悪い青年だったなんて事も、今になってやっと分かった。

「わいは見たいわ。どうやってあんたが反乱を止めるのか。」

りんがニコニコしながら、じっと京司の背中を見つめている。

「…。」

京司はそんなりんの言葉に、思わず足を止め、少しだけ振り返った。
そしてどこか嘘っぽいような違和感のある、りんのその笑顔を見て、眉をひそめた。

「あんたにそれができるんかな…。」
「…。」

りんは口元に笑みを浮かべたまま、しかし声のトーンを低くしてそう言った。そして、その鋭い視線が、京司にひしひしと伝わってくる。

パカパカ

その時、沢山の馬の蹄の音が町の外から聞こえた。


「さあ、おでましやでー。」
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