何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「くっそ!もうここまで着いちまったじゃないか。」

京司は町の外で彼らを止めたかったが、町の入り口でごたごたしているうちに、反乱軍は、もうそこに到着してしまった。馬に乗ってやって来たその集団は、思ったよりも小規模で、人数はざっと30人くらいだろうか。

「止まってくれ!」

そして、京司はその集団の前に駆けて行き、大声で叫んだ。

「あ?なんだ坊主?邪魔だ!」

その集団の先頭にいた男が、京司の姿を捉えて、眉間にしわを寄せた。
京司が天師教だなんて、もちろん彼らは知らない。簡単にあしらわれて当然だ。

「ここから先に行かせるわけにはいかない!」

しかし京司は、間単に引くわけにはいかない。

「何なんだ?お前?」
「反乱を止めてくれ。今すぐ。」
「どけって言ってるのが聞こえないのか?」

その先頭の男が一人、前に出て来て馬から下り、威圧的に京司に迫る。
その男は京司よりも、おそらく一回り以上、上の年齢だろう。体つきはがたいがよく、辰といい勝負だ。そんな男の前に立つ京司は、まるで幼い少年だ。

「リーダー。放っておきましょう。」

一人の別の仲間が、先頭の男に声をかけた。
どうやらこの男は、この反乱軍のリーダーのようだ。

「どくわけには、いかねんだよ。」

しかし京司は、先を急ごうとする彼らに、尚もつっかかっていく。これ以上先に進ませるわけにはいかないと言わんばかりに。

「坊主。これは、遊びじゃない。」

リーダーと呼ばれるその男が、腰に刺さる剣を抜いた。

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