何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「反乱だかなんだか知らないけど、あんた達はちゃんと考えてんのか?この町の事を!この国の事を!」

―――― それは誰への言葉?


「ここで今、反乱を起こしても、この国は変わらない。」



京司は力強くそう言った。

「…。」

そこで初めて、その熱い視線がリーダーに突き刺さった。


「血を流せば変わるの?」


その時おもむろに、天音が口を開いた。


「町を壊せば、城を壊せば変わるの?あなた達の不満は解消されるの?」


リーダーは天音の方へと視線を移した。

「…ああ。」
「ウソ!!」

今までにない強い口調で天音が叫んだ。

「天音…。」

辰は天音に熱い視線を送り、その様子を見守る。


「この町のいい所も知らないで、どうやって変われるの!」
「…。」

思わず、リーダー達、反乱軍達はその言葉に聞き入る。

「あなた達だってわかってるはずでしょ?どんなに貧しくったって、苦しくったって、しちゃいけないんだよ…。人の命を奪う事はしちゃいけないんだよ。」

天音は真っすぐとリーダーの方を向いてそう言った。

「…どんな悪人でもか…?」

リーダは天音に問いかける。

「そんな権利は人間にはない…。」

いつしか、その目は天音の目がかわっていた。

その言葉は天音のものなのか…。それとも別の誰か?



「あなた達に…この国は変えられない…。」



彼女のその目は何を捉えているんだろうか…



「人は死んだら悲しむ人がいる…。」
「…。」
「反乱は…。」



その瞳に映るものが何なのか、誰も知らない。



「反乱は今じゃない…。」




――――!?



< 189 / 339 >

この作品をシェア

pagetop