何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「帰るぞ…。」
リーダーが下を向いたまま、静かにそうつぶやいた。
「リ、リーダー!!」
反乱軍の他のメンバーは、ざわつき始め、動揺を見せている。
「帰るぞ!!」
しかし、それに構うことなく、今度はみなに聞こえるよう、力強くリーダーが号令をかけた。
そして、その号令の通り、反乱軍達は元来た道を引き返し始めた。
「あ、ありがとうございます!!」
天音は思わず目の前で佇んでいた、リーダーに向かってお礼を大声で叫んだ。
「…。」
リーダーはただ何も言わずに、少し顔を上げて、天音の方を見た。
「よかったやないかー。てん…じゃなくて京司!!」
そう言って、いつの間にか京司の隣にいたりんが、思いっきり京司の背中をバシバシと叩いた。
しかし、京司は浮かない表情を浮かべて、地面を見つめているばかりで、何の反応も示そうとしない。