何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「驚いたわー…。」
天音が居なくなったその場所で、りんが思わずその言葉を漏らした。
りんが驚いたのも無理ない。
「たったの5分」
りんの背後からその声は聞こえた。
りんが振り返えるとそこには、先程のおばあさんがいた。
どうやら、おばあさんが伝えたのは、この町へと続く通路を天音が何分で通ったかという事のようだ。
「ひぇーー。」
その時間を聞いて、りんが驚きの声を上げた。
「この通路を、何の障害も受けずに通り抜けるなんて…。」
そしておばあさんも、驚きが隠せない様子だった。
この通路は、普段は何のへんてつのない普通の通路だが、今だけは違う。
そう、この通路は妃候補を試すために、おばあさんの術がかけられている、特殊なものだったのだ。
もうここから妃候補を試す試練は始まっていた。
「あの子、何の汚れもなく、希望に満ち溢れてたなー。でも、なんか変な事言っとったなー。」
りんは、自分にしか聞こえない声で、ブツブツ独り言のようにつぶやいていた。
「にしても、お前まで一緒に入って、さらにこの町にまで入れてしまうなんて!」
おばあさんは、恐い顔でりんを睨みつけた。
普段はこんな試練などもちろんなく、この城下町に入るには、通行証を確認するか、また門番のこのおばあさんのお眼鏡に叶ったものが、足を踏み入れる事ができるシステムとなっていた。
「ええやないの!面白かったし!でも、まるであの子に導かれたみたいやったな。」
彼はこの通路を通り抜けるには、何かしらの罠があるのではないかと、ここに入る前に気がついていたに違いない。
しかし、何故か彼は天音と一緒に入る事を自ら選んだ。
彼は一体何者なのだろうか。
それはわからないが、おばあさんは、彼が普通の一般人でない事をとうの昔に見抜いていたようだ。
「もしかして、ひょっとするかもな!」
「フン。あの田舎者がか?」
「ああ、ピンときたんや。あの子は普通とちゃう。」
りんは遠くに見える、この町のいや、この国のシンボルでもある城に目線を移した。
彼は感じていた。天音の不思議な、なぜか惹きつけられるその魅力に。
「天音…か…。」
「…もっと早くここを通りぬけた者もいたがな。」
「いや、わいは天音に賭けてみるわ。」
りんはその名前を噛みしめるようにつぶやいた。
おばあさんは、まだ天音の事を100パーセント認めたわけではなかったが、りんはすっかり彼女の事を気に入ったようだ。
そしてりんはまた、うっすら口元に笑みを浮かべた。
「ようこそ天音。最後の時代へ。」
その様子を遠くで見ていた女が小さくつぶやいた。
天音が居なくなったその場所で、りんが思わずその言葉を漏らした。
りんが驚いたのも無理ない。
「たったの5分」
りんの背後からその声は聞こえた。
りんが振り返えるとそこには、先程のおばあさんがいた。
どうやら、おばあさんが伝えたのは、この町へと続く通路を天音が何分で通ったかという事のようだ。
「ひぇーー。」
その時間を聞いて、りんが驚きの声を上げた。
「この通路を、何の障害も受けずに通り抜けるなんて…。」
そしておばあさんも、驚きが隠せない様子だった。
この通路は、普段は何のへんてつのない普通の通路だが、今だけは違う。
そう、この通路は妃候補を試すために、おばあさんの術がかけられている、特殊なものだったのだ。
もうここから妃候補を試す試練は始まっていた。
「あの子、何の汚れもなく、希望に満ち溢れてたなー。でも、なんか変な事言っとったなー。」
りんは、自分にしか聞こえない声で、ブツブツ独り言のようにつぶやいていた。
「にしても、お前まで一緒に入って、さらにこの町にまで入れてしまうなんて!」
おばあさんは、恐い顔でりんを睨みつけた。
普段はこんな試練などもちろんなく、この城下町に入るには、通行証を確認するか、また門番のこのおばあさんのお眼鏡に叶ったものが、足を踏み入れる事ができるシステムとなっていた。
「ええやないの!面白かったし!でも、まるであの子に導かれたみたいやったな。」
彼はこの通路を通り抜けるには、何かしらの罠があるのではないかと、ここに入る前に気がついていたに違いない。
しかし、何故か彼は天音と一緒に入る事を自ら選んだ。
彼は一体何者なのだろうか。
それはわからないが、おばあさんは、彼が普通の一般人でない事をとうの昔に見抜いていたようだ。
「もしかして、ひょっとするかもな!」
「フン。あの田舎者がか?」
「ああ、ピンときたんや。あの子は普通とちゃう。」
りんは遠くに見える、この町のいや、この国のシンボルでもある城に目線を移した。
彼は感じていた。天音の不思議な、なぜか惹きつけられるその魅力に。
「天音…か…。」
「…もっと早くここを通りぬけた者もいたがな。」
「いや、わいは天音に賭けてみるわ。」
りんはその名前を噛みしめるようにつぶやいた。
おばあさんは、まだ天音の事を100パーセント認めたわけではなかったが、りんはすっかり彼女の事を気に入ったようだ。
そしてりんはまた、うっすら口元に笑みを浮かべた。
「ようこそ天音。最後の時代へ。」
その様子を遠くで見ていた女が小さくつぶやいた。