何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「我々の国、地球国は、今では一つの国を形成しておるが、謎の多い国じゃ。」
授業という名の修行は、ほぼ毎日のように行われ、まるでそれは学校のようだった。
そして、その中でも歴史の授業を担当していたのは、士導長だった。
今日も彼は妃候補の前に立ち、教鞭を振るう。そして、彼が語るのは、この地球国の歴史について。
「昔は争いの絶えない国だったこの国をまとめたのが、自らを天使教と名乗った救世主じゃった。」
「…。」
天音は士導長の話に、真剣な眼差しを向けて、聞き入っていた。
天音は、今まで自分の知らなかった、興味深い話が聞ける歴史の授業が一番好きだった。
「そして今の天師教様は、その救世主の子孫だと言われておる。」
「ZZZ」
真剣に聞く天音の横で、華子はコクリコクリと首を縦に振り、別の世界へと誘われようとしている。
「華子。」
もちろんそれを見逃すはずのない士導長が、華子の名を口にした。
「か、華子!さされてるよ!」
天音が見かねて、必死に隣に座る華子を揺さぶって、なんとか起こそうと試みる。
その姿を見て、周りの妃候補達はクスクスと笑い声をあげ、星羅も呆れ顔でその様子を見ていた。
「え?は、はい?」
天音の頑張りもあり、なんとかこちらの世界へと戻ってきてくれた華子は、寝ぼけ眼のまま、すっとんきょうな返事を絞り出した。
「地球国が形成されたのは、何年前かの?」
士導長はそんな華子に、とりあえず居眠りの事にはふれず、質問を続けた。
天音は気が気ではない様子で、華子を見つめるしかない。
「えっと、だいたい200年前?」
「うむ、その通り。」
しかし、天音の心配をよそに、士導長のその問いに、華子はすんなりと答えてみせた。
「華子すごいじゃん!」
そんな華子の華麗な開け答えに、横にいた天音が小声で華子を褒め称える。
「いや、常識だから!」
華子はまんざらでもない様子で、得意げにそう言った。華子は幼い頃からちゃんと学校に通っていたらしく、天音とはちがって、一般的な常識は持ち合わせていた。
授業という名の修行は、ほぼ毎日のように行われ、まるでそれは学校のようだった。
そして、その中でも歴史の授業を担当していたのは、士導長だった。
今日も彼は妃候補の前に立ち、教鞭を振るう。そして、彼が語るのは、この地球国の歴史について。
「昔は争いの絶えない国だったこの国をまとめたのが、自らを天使教と名乗った救世主じゃった。」
「…。」
天音は士導長の話に、真剣な眼差しを向けて、聞き入っていた。
天音は、今まで自分の知らなかった、興味深い話が聞ける歴史の授業が一番好きだった。
「そして今の天師教様は、その救世主の子孫だと言われておる。」
「ZZZ」
真剣に聞く天音の横で、華子はコクリコクリと首を縦に振り、別の世界へと誘われようとしている。
「華子。」
もちろんそれを見逃すはずのない士導長が、華子の名を口にした。
「か、華子!さされてるよ!」
天音が見かねて、必死に隣に座る華子を揺さぶって、なんとか起こそうと試みる。
その姿を見て、周りの妃候補達はクスクスと笑い声をあげ、星羅も呆れ顔でその様子を見ていた。
「え?は、はい?」
天音の頑張りもあり、なんとかこちらの世界へと戻ってきてくれた華子は、寝ぼけ眼のまま、すっとんきょうな返事を絞り出した。
「地球国が形成されたのは、何年前かの?」
士導長はそんな華子に、とりあえず居眠りの事にはふれず、質問を続けた。
天音は気が気ではない様子で、華子を見つめるしかない。
「えっと、だいたい200年前?」
「うむ、その通り。」
しかし、天音の心配をよそに、士導長のその問いに、華子はすんなりと答えてみせた。
「華子すごいじゃん!」
そんな華子の華麗な開け答えに、横にいた天音が小声で華子を褒め称える。
「いや、常識だから!」
華子はまんざらでもない様子で、得意げにそう言った。華子は幼い頃からちゃんと学校に通っていたらしく、天音とはちがって、一般的な常識は持ち合わせていた。