私の中におっさん(魔王)がいる。~花野井の章~
* * *
あの後、月鵬さんがメイドさんを呼んでくれて、私はメイドさん達に付き添われて自室へ帰った。
本殿の一室に、外科と内科のお医者さんが常駐しているから、メイドさんが走ってお医者さんを呼びに行ってくれた。
私は、全然気づかなかったんだけど、こめかみを切っていたみたい。だけど、治療中に傷は消えてしまった。お医者さんは少しびっくりしてたけど、治癒能力者かな? と、独り言を呟いて消毒液らしきものを風呂敷の中に締まった。
治療中にアニキと月鵬さんは、鈴音さんを抱えてどこかに行ってしまった。
(鈴音さんは、これからどうなるんだろう?)
どうして、アニキの命と、私を狙ったりしたんだろう。
(まさか、魔王がばれた?)
不安が襲ってきて、ベッドに潜っても眠る気になれなかった。