私の中におっさん(魔王)がいる。~黒田の章~

「ゲホ、ゲホゲホ!――ゴハ!」
 激しく咳き込み出し、大量の血を吐き出した。
 そしてそのまま地面に伏す。東條は意識を失った。

「伯父さん!」

 叫びだす翼の声を聞きつけて、他の物も天幕の中へと駆け込んだ。
 そして東條は、赤井の指示で三関の天幕へと運ばれた。
 
 ろくの右腕が微かに震える。ろくは、ひたすら動揺を隠し、それを見届けた。
 本当は駆け出して、傍についていたかったが、自分は東條に認められたのだ。それを放り投げていく事は、東條への裏切りになる。

 ろくは、気持ちを抑えて皆に向き直った。
「さて、たった今、ぼくが総指揮に任命されたから。――作戦会議を始めるよ」
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